NO.		作　　　　　品	NO.		作　　　　　品
1		猫の手も欲しいと神が絵馬あまた	31		碧き初富士北斎の波躍る
2		人波に友の顔あり初詣で	32		昏き海統べるがごとき冬将軍
3		扇舞う古式泳法冬の海	33		初湯殿思ひ出ばかり浮いて来る
4		富士真中一家総出の初写真	34		魚群追ふ鴎しどろや冬の海
5		初参り炎は天へお焚き上げ	35		遠富士を覆はむばかり冬怒涛
6		初詣乱れることのなき列に	36		冬怒涛夕日歪むる大しぶき
7		人のふり真似て幼子初詣	37		老いてなお願いは余多初詣
8		除夜の鐘搗きてそのまま初詣で	38		風殴る鳥肌立てて冬の海
9		白緑の注連縄清ら柏手す	39		元日や静まる中をポスト音
10		海岸に味噌汁の香初日の出	40		年を越し帰京の道路(みち)に波しぶき
11		遥拝で済ます長蛇の初詣	41		能登の旅我を迎える波の花
12		久々の人混みうれし初詣	42		初詣護国の御霊安らかに
13		御手洗と鈴の音控へ初詣	43		松原に富士の嶺白き初湯かな
14		ゆつくりと歩み続ける去年今年	44		冬の海竜馬見詰める夜明け前
15		篝火に声明たゆたう初参り	45		怒涛また怒涛真冬の日本海
16		拝殿の陰の猫にも初参り	46		猛吹雪津軽海峡北帰行
17		壮大な賽銭箱や初詣	47		波静か鳥が次々冬の海
18		人混みを抜けて神楽の息白し	48		天狼の青極めたる日本海
19		春を待つ鈴の緒にぎり初詣	49		流氷のとどあくびするオホーツク
20		初詣大吉求め五社参り	50		船頭の怒声掻き消す冬怒濤
21		松取りて献立の具の新たなり	51		初詣タイ語の会話隣りより
22		初詣で末吉の札木の花に	52		蹌踉と辿る岩場の浪の花
23		こんなにはかなえられません絵馬あまた	53		ジャンパーの行列長し初詣
24		初詣飛入る襟足五百円	54		玉砂利の擦り音止まぬ初詣
25		せせらぎで心も清め初詣	55		孫受験賽銭弾む初詣
26		冬の海凪の合間の磯歩き	56		故郷の地酒振舞ふ囲炉裏端
27		初庚申さくら一家も来てをらむ	57		凄まじき怒髪天なる冬の波
28		カラフトヘ凍る海峡スキー渡る
29		冬の海心ゆくまで吹き飛ばし
30		駅伝の走者祝ぐごと冬の凪